2017年サクラマス


サクラマス 修業
2017年5月


久しぶりにこんな雨の中釣りをしている。

こんな雨で釣りをしたのは、おそらく小学生の頃ではないだろうか。

釣りするのに、天気は関係ないというほどの時代は、とうに過ぎているのに、こんな雨で釣りをしている。

雨だけじゃ無い、風も混じって、顔に冷たく当たってくる。

足下の水は重く、ゴアテックスのウエダーを通じて冷たく感じる。

腕も、襟足も冷たくなった。しみこんできているんだろう。

そういえば新幹線の窓から見える空は、明らかに歓迎ムードではなさそうだった。

青い流れがとてもきれいだという玉川で、春の日差しを浴びながら、釣りが出来れば、それでいいと思って居たのに、これじゃ修業だ。

青いはずの流れは、雲の灰色が映って重い鉛色。

さらに激しい雨は霧になって、川を取り囲んできた。

ルアーを変える。また変える。そのたびに手首に冷たい雨が入ってくる。

あまりの雨に、集中力が続かない。顔がびしょびしょになって、まるで泣いているような気分になる。

ルアーの丁寧なトレースができない。

集中してないから、根がかり。そしてリーダーごと、もっていかれる。雨の中でPEラインとリーダーと格闘する。風で結びにくい。

二回ほど、下ってきて、橋の下にもどり、雨宿り。

入ったときに、色々情報を教えてくれたフライマンのクルマは無くなっていた。彼のような地元の人では、この雨の中で釣る意味を見いださないのだろう。

ボクに許された時間は半日しかない。こんな雲が低い日は、暗くなるのは相当早いはずだ。おそらくあと2時間程度だろう。

移動を決意した。

下流が良いという地元の釣具店の人の話を信じて下流に向かう。事前に調べてきた駐車ポイントにクルマを止めた。

300mほどの流れには誰も居ない。雨は相変わらず強く降っている。

上流部から流れをトレースする。途中、もしかしたら…と思う箇所からも、反応はなかった。

雨はやまない。それどころか、風が強まった。ココロが折れた。

ボクは玉川をあとにした。ここにもう一度来るだろうか。

END