2014年大尻沼釣行


秋 本番
2014年10月
人生を四季に例えてみる。

人間80年生きるとすると、それを均等に四等分する。

すると、20歳までが春。

40歳までが夏。

すると、今ボクは秋真っ盛りである。

春と夏に育ててきた果実が実る季節。木の葉が色づき、見るものを楽しませる秋。

そして、確実にやってくる冬を予感する季節でもある。

例年、秋というと、ソルトジギングか、シーバスという過ごし方をしてきたが、今年はちょっと違った。

ソルトジギングは、船のタイミングとスケジュールがあわず、シーズン真っ盛りの秋は一度もいけなかった。

シーバスは、何度もやってくる台風に翻弄されて、あまりよい結果が出ていない。

そんな状況で、数年ぶりに古い友人と、宝石のような湖に行くことになった。



空の雲の流れが速い。

青空が見えたと思えば、すぐに雨が降ってくる。

雨は冷たい雨である。冬を感じさせる。




釣友の操船で湖をゆっくりと回っていく。

思えば彼とも30年近い。この年まで一緒に遊べる友人を持つことはとても幸せなことである。



早速、釣友のロッドが曲がる。彼はホームグラウンドの一つでもあるこの湖の攻略方法を沢山持っている・

私といえば、ようやくかかったレインボーに切られたり、バレたりで、なかなかうまくいかない。ここの魚たちは強力なのだ。



水は濁り気味だが、魚が浮いていれば目視できる。ただ、ドライフライを食うかどうかは別であるが。



魚を見つけてはドライを投射する。魚がいなくてもいそうな場所に投射する。するとどこからともなくレインボーがやってくる。



ロッドを変えて、ようやく何匹か取り込めるまでになる。昼には上陸して、彼の製作したバンブーロッドを試しぶりさせてもらう。

荷物や状況が許す限り、バンブーロッドを使うようになった。投射するときの感覚がとてもいい。

何本かの試しぶりをして、ある#3ロッドをオーダーする。来春がとても楽しみだ。



午後もずっと魚を探し、フライを投射し、釣っていて一日が終わった。

思えば数年ぶりの釣友との会話もぽつぽつ。気心の知れた相手との釣りはきわめてナチュラルなものだ。

魚を必死になって探し、フライを投射し、魚が咥えて暴れ回り、ネットインしてリリースする。

たかがそれだけのことに、なんて熱心になるんだろう。

釣りに没頭した時間から、ようやく冷めた帰り道。

峠を下る道の周りには、しっかりと秋が迫ってきていた。

人生の春を過ぎ、夏を過ぎた自分に気がついたとき、もう秋は終わりかけていたなんてことにならないように、この人生の秋の後半も十分楽しみたい。





END